感染症・感染対策専門出版

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介護保険施設のための できる! 感染対策

 ●介護施設の感染対策にこういうわかりやすい本がほしかった!
 ●感染対策の専門家がわかりやすい解説で綴った超入門書!
 ●病院-施設の感染対策の地域連携にも必ず役立つ1冊!

 著 者:四宮 聡(箕面市立病院 チーム医療推進部 ICT担当副部長)
 定 価:2,530円(本体2,300 円+税10%)
 判 型:B5 判 96 頁(2色刷)
 発 行:2017 年10 月5 日
 ISBN978-4-906844-14-2


目次

1 感染と防止の基本~ヒトと病原体と感染
  1 そもそも感染とは
  2 感染防止とは
  3 感染源について
  4 感染経路について
   ①接触感染
   ②飛沫感染
   ③空気感染
  5 感染経路の遮断
   ①感染源を運ばない
   ②感染源をシャットアウト!
  6 感染対策は2つある

2 感染を起こさないための日頃の予防策
  1 備えあれば憂いなし
  2 感染源を運ばない
  3 手指衛生と環境清掃で感染源の移動を阻止
  4 まずは接触感染を予防する

3 日頃の感染予防策

 1手指衛生
  1 手指衛生法の選択-手指消毒か手洗いか
  2 手指衛生の正しい手順とやり方
  3 手指衛生のタイミング

 2環境清掃
  1 手指が頻繁に触れる環境表面の清掃 
  2 手指があまり触れることのない表面の清掃
  床の清掃
  3 日常清掃の実際
   ①居室
   ②廊下
   ③トイレ
   ④手洗い・洗面台
   ⑤浴室

 3日常ケア
  1 痰吸引
  2 胃瘻
  3 尿道留置(バルン)カテーテル
  4 オムツ交換
  5 口腔ケア
  6入所者さんの健康状態の観察 

4 感染症が発生した時の拡大防止策
  1 感染を拡げないために何をすべきか
  2 施設で注意すべき感染症

5 感染症発生時の拡大防止策

 1ノロウイルス感染症
  1 ノロウイルス感染症とはどんな病気か
  2 ノロウイルスの感染力と感染経路
  3 入所者さんがノロウイルスに感染したら
   ①感染者を居室に隔離
   ②嘔吐物処理
   ③感染者のケア
   ④嘔吐時の状況にあわせた対応
   ⑤ノロウイルス感染者の使用後のトイレの清掃
   ⑥オムツ交換
   ⑦居室の清掃
   ⑧隔離の解除

 2インフルエンザ
  1 インフルエンザの症状
  2 インフルエンザの感染経路
   ①飛沫感染
   ②接触感染
  3 施設内にインフルエンザが発生したら
   ①発症や発症疑いに対する迅速な対応
   ②インフルエンザを発症した入所者さんを居室に隔離
   ③感染者の居室の清掃
  4 入所者さんへの予防接種
  マイコプラズマ肺炎
  1 介護施設でなぜマイコプラズマ肺炎に注意が必要か
  2 入所者さんがマイコプラズマ肺炎に感染したら

 3疥癬
  1 疥癬とは
  2 疥癬の症状
  3 入所者さんが疥癬を発症したら
   ①疥癬かどうかを疑う
   ②疥癬発症者へのケア
   ③居室の清掃
   ④疥癬患者さんに使用した備品類の衛生管理
   ⑤リネン類の処理
   ⑥隔離の解除

 4結核
  1 高齢者と結核
  2 肺結核の症状
  3 結核菌の感染経路
  4 入所者さんが結核を発症したら
  5 結核患者に接触した職員や他の入所者さんへの対応
  6 入所前の結核チェックのポイント 
  7 定期健診や健康観察で結核の早期発見を!

6 組織で取り組む感染対策~効果を上げる体制づくり
  1 感染対策を実施する組織の体制づくり
  2 感染対策委員会
  3 職種ごとの役割
   ①施設長
   ②看護師
   ③介護職員
   ④事務職員
  4 感染症発生時の報告・指示の体制
  5 職員の健康管理
   ①入職時の確認事項
   ②定期健診
   ③ワクチン接種
   ④就業制限
  6 関係各所への報告

7 施設内でできる感染対策研修会
  1 感染対策研修会とは 
  2 研修担当者へのアドバイス

8 地域病院との連携~感染対策専門家との良好な関係づくり

・参考文献
・巻末資料
 ●自施設現状チェック表
 ●感染対策ミニテスト
 ●部署内環境チェック表

・索引

 


内容見本


はじめに

 感染症が他の病気と大きく違う点は,人から人にうつってしまうことです。ここでのキーワードの一つは「集団」です。感染症が集団で生活する場で拡がりやすい点では,病院も施設も同じです。医療は進歩し続けていますが,毎年流行するウイルスをはじめ,結核や薬剤耐性菌は施設でも問題となっています。そして感染症は,高齢者の方々にとって,時に命にかかわる重大な病気であることは,みなさんもご存知の通りです。
 みなさんが働く介護保険施設では,感染症に弱い方々が集団で生活をしています。ですから,施設の中で感染対策に取り組んでいかないと,感染症にかかった入所者さんが増えた時(集団感染)に,ただ慌てるしかないかもしれません。
 ところが,いざ感染対策に取り組もうと関係する本を読んで勉強を始めても,ほとんどが病院(特に急性期病院)での感染対策について書かれたものが多く,参考にしにくいのではないでしょうか。病院と施設では,取るべき対策が異なる点も多く,結局「何をやればいいの?」「どこから始めたらいいの?」「どうすればいいの?」と疑問が出てきて,なかなか実践につなげにくいのが現実ではないかと思われます。
 そこで,みなさんに介護保険施設で行うべき感染対策について,できるだけ分かりやすく伝えたいという思いで,本書を執筆しました。施設の中で,“これだけはやっておきたい対策”を取り上げ,小難しいことや,専門用語はできるだけ避けながら,みなさんが施設の中で手軽に活用していただける入門書になるよう工夫したつもりです。
 本書が,みなさんの職場の感染対策に少しでもお役に立てたら筆者としてこれ以上の喜びはありません。

2017年8月のある日 早朝の書斎にて

四宮 聡
箕面市立病院 チーム医療推進部 ICT担当副部長 感染管理認定看護師